【らんま1/2】第14話 感想|あかねの思いと初恋の終わり

ストーリー解説・名エピソード

昔、夢中で読んだ「らんま1/2」。大人になって読み返しても、やっぱり最高です。
このブログでは、そんな“らんま愛”を込めて感想を書いています。

※本記事には『らんま1/2』のネタバレが含まれます。未読の方は原作を先に読むことをおすすめします。

第14話「かわいくねえ」あらすじ

あかねの髪がばっさりと切られた衝撃の前回。
その続きとなる14話は、彼女の“初恋の終わり”と“新しい自分の始まり”が描かれます。
切なさと、ふっきれた清々しさ。少女から少しだけ大人へと歩みだすあかねの姿に、胸がぎゅっと締めつけられるような回です。

過去の記憶と髪に宿る思い

帰宅したあかねは、自室で静かに過去を思い出します。
ランドセルを背負っていた頃。小学生だったあかねは、ケガをして東風先生の骨つぎ屋に通っていました。
そこに、風林館高校の制服を着たかすみが通りかかり、東風先生にお礼を告げます。
ペティちゃんの骨格標本を抱えながら照れる先生。その表情を見て、あかねは“先生がかすみを好き”だと気づくのでした。

帰り道、かすみはあかねに「あかねは本当に男の子みたいね。もっと女らしくしないと、東風先生に嫌われちゃうわよ。」と言葉をかけます。
その言葉に、“髪を伸ばせば、あかねだってお姉ちゃんみたいに…”と、あかねは心に決めたのでした。
この日が、あかねが髪を伸ばし始めた理由だったのです。

あかねの髪に込められた“思い”

あかねが髪を伸ばした理由は、姉への憧れと、先生への恋心。
それを知ることで、彼女のロングヘアが単なる髪型ではなく、“想いの象徴”だったことがわかります。
小学生の頃のあかねにとって、髪を伸ばすことは「大人になる」こと、「恋する自分になる」こと。
だからこそ、その髪を切る行為は、初恋を終わらせる覚悟そのものだったと思います。
本当によく頑張ったね、と声をかけたくなるほどです。

強がるあかねと、見守るらんま

現実に戻ったあかねのもとに、女の姿のらんまが現れます。
「あ、あの…」と声をかけるらんまに対し、あかねは「泣き伏してるとでも思ったの?」と強気に言い返します。
「気にしてないから、ほっといて。」
そう言ってデスクスタンドを投げるあかねの気丈にふるまうその表情が、どこか切なく胸を打ちます。

髪を切る決意

場面は台所へ。料理をしていたかすみのもとに、はさみとタオルを持ったあかねが現れます。
髪がばさばさになった妹を見て、驚いたかすみは思わずフライパンを放り投げてしまいます。
それをキャッチするのは、横から滑り込んできたらんま。
「どうしたのよ、その髪。」と問うかすみに、あかねは「ちょっと気分かえよーと思って。おねえちゃん、きれーに切ってよ。」と頼むのでした。
その笑顔の奥には、未練を断ち切ろうとする静かな決意が感じられます。

乱馬の視点、ふたりの距離感

男の姿に戻った乱馬。謝ろうと外出したあかねを追いかけ外に出ます。
道を歩く後ろ姿に見覚えを感じ、塀の上から飛び降りる乱馬。
「ご、ごめん、人違い…」とあわてる乱馬に、「誰探してんの。」と声をかけるのは、ショートカットになったあかねでした。
「あ…あの…ごめん。」と申し訳なさそうな乱馬に、「いいの。どうせ近いうちに、切るつもりだったんだから。」と答えます。
いじらしさと強さが同居するその表情に、彼女の成長を感じさせます。

東風先生との対面、涙の交錯

東風先生の骨つぎ屋を訪れたあかね。
ショートカット姿を見た先生は「へぇ、また短くしたの。」と声をかけます。
“また?”という言葉に、乱馬は小さく反応。
診察室で足の治療を受けながら、あかねは「先生…似合う…かな…」と尋ねます。
先生は笑顔で「うん、とってもかわいいよ。それに、短いほうがあかねちゃんらしいね。」と答えるのでした。

その一言に、涙がこぼれるあかね。
「痛かった?ごめんね」と足の痛みを心配する先生に、「違うんです。あれ、止まらない。」と泣きじゃくります。
いつもと違うあかねの肩に手を置き、「どうしたの?」と優しく微笑む先生に、あかねは我慢できず、子供のように泣き崩れました。
その姿を、診察室の外から静かに見つめる乱馬。
背後で変顔をする玄馬パンダを殴るというお約束のギャグも挟みつつ、場面の切なさがより際立ちます。

東風先生の優しさ、そして涙の意味

東風先生の「かわいいよ」という言葉。

それは“恋人としての言葉”ではなく、“見守る大人の優しさ”でした。
でも、あかねにとっては、それがどれほど救いだったでしょう。
泣くことを我慢してきた彼女が、やっと自分の気持ちを解放できた。
この涙は、失恋の涙であると同時に、成長の涙でもあります。

心の整理と、すれ違う気持ち

帰り道、あかねと乱馬は並んで歩きます。
「あーあ、泣いたらスッキリした。」と笑うあかねの横顔に、もう涙はありません。
塀の上にいる乱馬が、「かわいい… …って先生いってた… よかったな。」とつぶやきます。
「関係ないよ。東風先生はかすみおねえちゃんが好きなんだもの。」
「やっと気持ちの整理がついた。」と話すあかねの声は、どこか軽やかで、まっすぐでした。

「いい忘れてたけど… …似合ってるぜその髪…」という乱馬の言葉に、あかねは一瞬呆然とします。

さらに続けて「と、とにかくおれは短いほうが好…」と乱馬が素直な発言。「いや、だから、おれの好みなんかどーでもいいんだけど…」

「乱馬。ありがとう。嬉しい。ウソでも嬉しい。」と笑顔で返すあかねの表情に、乱馬はドキッとするのでした。

“こいつ、本当にかわいい…”と思った瞬間…あかねに「隙あり」と足をちょんとおされたことで、乱馬はフェンスの上から川に落ちてしまうのでした。

女の姿になったらんまが「やっぱかわいくねー」と叫び、空気がふっと和むのでした。

涙のあとに訪れる、少しだけやさしい風。
そんな余韻のあるラストでした。

乱馬の心に芽生えたもの

今回の乱馬は、あかねを見守る立場にいながら、次第に“彼女を想う気持ち”に気づき始めているようにもみえます。
「かわいい」と感じた瞬間。
その一瞬が、ふたりの関係を大きく動かす始まりだったんだろうなと。
言葉には出さないけれど、確かに恋が始まった瞬間だと思います。
“かわいくねえ”という言葉の裏に隠された照れくささが、なんとも乱馬らしいですね。

物語の節目にふさわしい、青春の名場面

第14話は、らんま1/2という作品の中でも特に“心の描写”が美しく描かれた回です。
テンポは静かで、笑いよりも余韻が残る。
それでいて、最後にしっかりと二人の“らしさ”で締めくくられている。

令和版アニメでもこの回は非常に丁寧に映像化されており、感情の機微がじっくり伝わってきます。
あかねの初恋の終わりと、新しい関係の始まり――。
この「かわいくねえ」は、シリーズ全体の中でも特別な輝きを放つ、青春の1ページです。

まさ

小学生の頃に『らんま1/2』に出会い、アニメ・原作漫画にどっぷりハマる。
令和になって再び「推し活」として『らんま』を再読し、ファンサイト「らんまメモリーズ」を立ち上げました。
2024年〜2025年にかけて展開される新作アニメにも注目中!

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